卑劣恋愛
その言葉にあたしは胸の奥がギューッと締め付けられて……嬉しくなった。


パッと笑顔を浮かべて武を見つめる。


武はそんなあたしにたじろいている様子だ。


でも……嬉しい!


だって武はあたしとのやりとりをこんなに鮮明に覚えていてくれたんだよ!?


こんなの、もう運命でしかないよね!?


また、鼻の奥からツーっと流れて来るものを感じた。


あたしは慌てて武に背を向けて、ティッシュで鼻を押さえた。


こんなところ、武に見られたくない。


「ごめん武、先に教室に行ってて」


あたしの言葉に、照れ屋の武は逃げるように校舎へと向かったのだった。

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