卑劣恋愛
外に見えるのは山の木々だけ、聞こえてくるのは虫の声だけだ。


家に帰ってこないあたしを、両親はどう思っているだろうか?


もしかしたら捜索願が出されているかもしれない。


しばらくすると、あたしは布団の上にグッタリと横たわっていた。


梅雨明け間近の夜はムシムシと熱い。


空調も止まっている小屋の中は、体にまとわりつくような熱さを感じた。


額から汗がにじみ出て、ベトベトとした感触が気持ち悪い。


今が本格的な夏じゃなくてよかった。


もし真夏でこんな場所に監禁されたら、それこそ死んでしまうかもしれない。


そう考えている内に、あたしはいつの間にか目を閉じていたのだった。
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