卑劣恋愛
大声で助けを呼ぶため、大きく息を吸い込んだ。


その瞬間……。


ライトの光が相手の顔を照らしだし、あたしは言葉を失っていた。


「え……?」


あたしは唖然としてその光景を見つめる。


それはあたしのよく知っている人物だったのだ。


でも、どうしてこんな時間に、こんな場所に……?


疑問を感じていると、その人物が何かを担ぎ直すのがわかった。


黒いビニール袋?


なんだろう、ゴミみたいに見えるけど……。


ソレには、ビニール袋から除く女性の顔があったのだ。


あたしは小さく悲鳴を上げて、その場に尻もちをついていた。


ライトに照らしだされた女性の顔は真っ赤な血に染まっていた。


目は見開かれ、白目をむいている。


全身の力は抜けきっていて死んでいることは明白だった。
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