卑劣恋愛
灰色の天井を見上げていると、今にも落ちて来そうな気がした。


計画が上手くいっていれば、あたしは今頃武に朝ご飯を作ってあげていたはずなの
に……。


小さなキッチンへ視線を向けてそう考えた時、前触れもなくドアが開かれた。


眩しさに一瞬顔をしかめる。


光が差し込んでくるせいで逆光になり、相手の顔がわからなかった。


「武!?」


咄嗟に、今一番合いたい人の名前を口走っていた。


「残念、千恵美だよ」


そう言うと、千恵美がクスクスと笑いながら小屋の中へ入って来た。


手にはお弁当箱が握られていて、制服姿だ。


今日はこのまま学校へ行くつもりなのだろう。


「朝ご飯を持ってきてあげたよ」


千恵美はそう言うと、お弁当箱を開けて見せた。
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