卑劣恋愛
サンドイッチとミートボールだ。


あたしはチラリと千恵美を確認する。


千恵美は上機嫌に鼻歌を歌っている。


「あれから智樹はどうなったの」


「無事に家に連れて帰ったよ。今、あたしの部屋のクローゼットにいる」


それは嘘ではないようだ。


「クローゼットに人間がいたら、誰かが気が付くでしょう?」


家まで運ぶところは運よく見られなかったかもしれないが、その後のこともある。


「あたしの部屋は防音設備があるから大丈夫」


「防音……?」


「そうだよ。幼稚園の頃からピアノを習っているから、あの家を建てる時に防音設備を取り入れたの」


千恵美はスラスラと受け答えをする。


どうやら、これも嘘じゃなさそうだ。


あたしはユルユルと息を吐きだした。


千恵美はあたしができなかったことを、やってのけたことになるんだ。

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