卑劣恋愛
「そんなことはいいから、ノドカにご褒美をあげようと思って武を連れて来たの」


「ご褒美……?」


千恵美の考えるご褒美なんて、きっとろくでもないものだ。


そう感じてあたしは武へ視線を向けた。


「武お願い! あたしを助けて! 武の力があれば、千恵美をねじ伏せることくらい簡単だよね!?」


「あたしをねじ伏せる? 武が?」


千恵美はそう言って、おかしそうに声を上げて笑った。


「そんなことしないよね?」


「あぁ、しない」


武は千恵美の言葉に頷いている。


「今の状況分かってる!? あたしも智樹も監禁されてるんだよ!?」


「だからなんだよ? 元々、俺のことを監禁するつもりだったんだろう?」


武があたしを睨んでそう言った。


「そう……だけど……」
< 172 / 262 >

この作品をシェア

pagetop