卑劣恋愛
☆☆☆

ぼんやりと天井を見上げていると、ドアが開かれた。


ハッとして顔を向けると千恵美の笑顔と視線がぶつかる。


「おはようノドカ。今日は学校が休みだからずっと一緒にいてあげれるよ?」


千恵美の後ろからは昨日と同じように武が付いてきている。


「休みなら、武のことも休ませてあげてよ」


「なに言ってんの? 武には散歩をさせてあげてるんだよ。ね?」


千恵美が振り向いてそう聞くと、武はニッコリとほほ笑んで頷いた。


「武はあたしの彼氏なんだから、やめてくれる!?」


「まだそんなこと言ってんの? それは全部ノドカの妄想だよ。ね、武」


「千恵美の言う通りだ。俺はノドカと付き合ってなんかない」


武の冷たい言葉が突き刺さり、あたしは奥歯を噛みしめた。


「武はあたしの犬だもんね?」


「あぁ、そうだよ」


そう答える武はまるでロボットみたいだ。


自分の感情を削除されて、新しい感情をインプットさせられた可哀想なロボット……。
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