卑劣恋愛
☆☆☆

父親がかついでいたのは、間違いなく近所のお姉さんの遺体だった。


恐らく父親が殺したことで間違いないだろう。


その後、あの遺体をどうしたのか気になっていた。


山へ埋めたのだろうと思っていたけれど、父親がスコップなどの道具を持っているように見えなかったのだ。


予め準備しておいたのかもしれないけれど、それでも気になった。


小屋から随分と離れたところで、あたしは一度足を止めた。


ここには昔建物でもあったようで下がアスファルトになっているのだ。


つまり、父親の足跡もここで途絶えているのだ。


「ここからどこに向かったんだろう……?」


あたしは周囲を見回して確認した。


木々に埋もれるようにして建物の痕跡が残っている。


でもそれは壁の一部だけだったり、崩れ落ちた瓦だったりして遺体を隠せるようなスペースではない。
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