卑劣恋愛
周囲を確認しながら歩いていると、建物の痕跡の後ろに洞窟があることがわかった。


これも草やツルに隠れてほとんど見えなくなってみる。


真っ暗な洞窟の中に足を踏み入れてみると、空気がヒヤリと冷たかった。


いくら太陽の光が届かないからと言って、ここまで外気と差が出るものだろうか?


寒気に身震いをしたとき、暗闇の中何かが足に触れた。


立ちどまって確認してみるが、ハッキリとした形が見えない。


あたしは自分のポケットを確認した。


スマホが残されていないかと思ったが、残念ながら持ち去られていた。


チッと舌打ちをしてしゃがみ込み、手探りで感覚を確かめる。


手に触れたソレはガサガサと音を立てた。


感触はビニールのようだ。


あたしはお姉さんの体がビニール袋に入れられていたことを思い出した。


徐々に目が慣れて来ると、真っ黒な物体を囲むように白い煙が出ていることに気が付いた。


手を伸ばしてみると、ヒヤリと冷たい空気に触れた。


「ドライアイス……?」
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