卑劣恋愛
「相手との進展はどのくらい?」


「えっと、昨日初めて声かけて……。そしたら相手もあたしのことを知ってくれてて、番号交換してきた」


説明しながら真由子はモジモジと手遊びをしている。


「そうなんだ……」


その回答だけでもう充分だった。


好きなら諦めなくていい。


自分の気持ちを伝え続けてば、相手だってわかってくれる。


それが証明された瞬間だった。


正直、本当に自分のやり方でいいのかどうか疑問を感じるときもあった。


だって、武はいつまで経っても自分からメッセージをよこしてくれないし、自分からあたしを迎えに来てもくれない。


不安になっても仕方ないことだった。
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