卑劣恋愛
あたしはクローゼットを見つけて大股に歩いて行き、そこで足を止めた。
クローゼットと言っても昔ながらの衣装棚だ。
冗談がクローゼットのように服をかけて収納できるタイプの棚だった。
あたしはノブに出をかけて一気に、引いた。
その瞬間、血の臭いがして後ずさりをする。
あたしの後を追い掛けて来ていた千恵美の母親が大きな悲鳴を上げた。
でも、どれだけ声をあげてもこの部屋の中にいれば、外に聞こえないのだろう。
あたしはしゃがみ込み、手足を縛られてガムテープで口を塞がれている智樹と視線を合わせた。
智樹はグッタリと座り込んでいて、あたしに気が付いていない。
「誰なのこれは、どうしてこんなところにいるの!?」
千恵美の母親は今にも発狂しそうな勢いで混乱している。
「千恵美がここに監禁していたんです。あたしは、智樹を助けに来ました」
「監禁!? 何を言ってるの、あの子が、そんなことするわけないじゃない!」
「心配しないでください。別に警察に話したりしませんから」
あたしは早口でそう言い、智樹の頬を軽く叩いた。
クローゼットと言っても昔ながらの衣装棚だ。
冗談がクローゼットのように服をかけて収納できるタイプの棚だった。
あたしはノブに出をかけて一気に、引いた。
その瞬間、血の臭いがして後ずさりをする。
あたしの後を追い掛けて来ていた千恵美の母親が大きな悲鳴を上げた。
でも、どれだけ声をあげてもこの部屋の中にいれば、外に聞こえないのだろう。
あたしはしゃがみ込み、手足を縛られてガムテープで口を塞がれている智樹と視線を合わせた。
智樹はグッタリと座り込んでいて、あたしに気が付いていない。
「誰なのこれは、どうしてこんなところにいるの!?」
千恵美の母親は今にも発狂しそうな勢いで混乱している。
「千恵美がここに監禁していたんです。あたしは、智樹を助けに来ました」
「監禁!? 何を言ってるの、あの子が、そんなことするわけないじゃない!」
「心配しないでください。別に警察に話したりしませんから」
あたしは早口でそう言い、智樹の頬を軽く叩いた。