卑劣恋愛
そう言われて、あたしは智樹が武に暴行を加えていた時のことを思い出した。


あの時、智樹は終始楽しそうな表情だった。


「もしもあんたが武を殺したら、あたしはあんたを死ぬまで怨み続ける」


智樹を睨み付けて、低い声で言った。


「わかってるよ」


智樹はそう言い、小型ナイフをポケットに忍ばせたのだった。
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