卑劣恋愛
これで今日から武はあたしだけのものになる。


そう考えると全身が歓喜に震えた。


どれだけこの時を待っていただろうか。


武が全くあたしを見てくれなくても、千恵美に暴行を加えられても、この気持ちだけは揺らぐことがなかった。


これは真実の愛だ。


だからこそ、ここまで来れたのだ。


「ありがとう智樹、今日はもういいよ」


あたしがそう言った時、玄関もチャイムが鳴り響いた。


一瞬母親が戻ってきただろうかと思ったが、母親なら家の鍵を持っているからチャイムは鳴らさない。


あたしは一瞬智樹へ視線を向けて、そして部屋を出たのだった。
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