卑劣恋愛
☆☆☆

積極的になればなるほど武はあたしを見てくれるかもしれない。


今まで以上にもっともっと、武に近づいて行った方がいいのかもしれない。


授業中もずっとそんなことを考えていたため、あまり勉強に身が入らなかった。


ま、いっか。


あたしは勉強なんてしなくても、武の奥さんになればいいんだから。


今必要なのは学力よりも、家庭的かどうかだった。


「そうだ、明日からは武のお弁当を作ってきてあげよう!」


もうすぐテスト期間に入ってお弁当は必要なくなるけれど、その間だけでも作って来よう。


途端にそう思い立って、あたしは席を立った。


ルンルンとスキップをしながら武に近づいた時だった。


武の隣に同じクラスの二木千恵美(ニキ チエミ)が立っているのが見えた。


2人して教室の後ろでなにをコソコソと話しているんだろう。
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