卑劣恋愛
「そうだ智樹、千恵美は居場所がなくなったみたいだからかくまってあげたら?」


「え……?」


智樹が目を丸くしてあたしを見つめる。


でも、あたしは本気だった。


智樹と2人でいれば千恵美はきっと大人しいだろう。


その上居場所を提供してあげられることになるのだから、都合がいいことばかりだ。


「智樹の家って共働きだよね? それなら昼間は千恵美も自由に動けるし、悪くないと思うけど?」


あたしの言葉に千恵美は目を輝かし始めた。


「本当に? いいの?」


千恵美はすでに智樹の家に行く気満々だ。


「え、でも……」


「智樹、あたしからのお願いがきけないの?」


上目づかいにそう言うと、智樹がゴクリと唾を飲む音が聞こえて来た。


「……わかったよ」


智樹はついに頷いて、千恵美と2人で帰って行ったのだった。
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