卑劣恋愛
あたしは2人が帰って行く後ろ姿を見送り、玄関にカギをかけた。


これで邪魔者はいなくなった。


そう思った瞬間、鼻血が流れてきて手の甲でぬぐう。


ついに、あたしと武はこの家で2人きりになったんだ。


どうしよう?


どんな話をしよう?


ワクワクしながら自室へ戻り、開け放たれたクローゼットの前に立つ。


しゃがみ込んで武と視線を合わせ、ほほ笑んだ。


武は緊張しているのか、心なしか顔色が悪い。


でも、それもすぐに馴れてくれるはずだ。


だって、ここにはあたしたち以外に誰もいないんだから。


普段の照れ屋な性格だって関係ないはずだ。
< 211 / 262 >

この作品をシェア

pagetop