卑劣恋愛
「ねぇ、武。質問があるの」


あたしは武の頬を撫でながら言った。


武の体は小刻みに震えている。


こうして、あたしと触れ合えることが嬉しいのかもしれない。


「あたしのこと、好き?」


小首を傾げて質問した。


武は目を見開き、呼吸を荒くしてあたしを見つめる。


「首を振って答えてくれる?」


本当はちゃんと返事が欲しかったけれど、今はまだそれができない。


でも、簡単な意思表示だけで十分だった。


今まで武はなんの意思表示もしてくれていなかったんだから。


だけど武は……首を横に振ったのだ。


その瞬間、あたしは動きを止めた。


ジッと武を見つめる。
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