卑劣恋愛
「どうしたの武? そんなハズはないよね? あたしたち、ずっとずっと上手く行ってたじゃない?」


あたしはスマホを取り出し、武の写真を見せて行った。


全部で何百枚あるかわからないが、その内カメラ目線の物を選んでいた。


「ほら、これもこれもこれもこれも、武はあたしのためにカメラ目線をしてくれた」


それでも武は首を横に振った。


ブンブンと、力強く。


あたしはスマホを床に落とし武の瞳を見つめる。


「もしかして、千恵美に遠慮してるの?」


千恵美の名前を出した瞬間、武の両目が大きく見開かれた。


「それなら心配しなくていいよ? 千恵美は智樹と付き合ってるんだから。あっちはあっちでちゃんと幸せなんだよ?」


そうだよね?


千恵美と智樹。


あたしと武。


この組み合わせが一番いいに決まっているんだから。
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