卑劣恋愛
引きこもり
ようやく武はあたしのものになった。


あれから、あたしは何度か同じ質問をしたのだけれど、その度に武は首を縦に振ってくれるようになったのだ。


これはもう、疑いようもなく武の本心だった。


「もう朝だね」


あたしはクローゼットの中の武へ向けて声をかけた。


昨日は嬉しすぎてずっと武とおしゃべりをしていたのだ。


と言っても、武は首を縦に振るか横に振るかしかできない。


でも、あたしには武の気持ちが手に取るように理解できた。


今までずっと武だけを見つめていたのだから、当然だった。


「ノドカ、起きてるの?」


廊下から母親の声が聞こえてきて、あたしはすぐにクローゼットの扉を閉めた。

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