卑劣恋愛
☆☆☆

あたしが家を出たのは一週間ぶりのことだった。


今までずっと武と一緒にいたのだと思うと、本当に夢のようだ。


学校からはテストがどうとか、出席日数とかどうとか言われているけれど、そんなことどうでもよかった。


大人が勝手に子供をランク付けする学校なんて、本当にくだらない。


学校なんか行かなくなって、あたしは永遠に武を愛し続ける自信があった。


それだけで生きていける。


約束場所のコンビニへ行くと、智樹はすでに到着していた。


そわそわした様子であたしに近づいてくる。


「用事はなに?」


「報酬をもらいに来た」


智樹が小声でそう言った。


あたしは内心舌打ちをしたい気分になった。


まだ報酬を諦めていなかったみだいだ。
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