卑劣恋愛
この女、ただじゃすまさない……!


そう思った時だった。


地上へと続いている天井のドアが開き、明かりが差し込んだのだ。


あたしはハッとしてそちらへ視線を向けた。


見ると、智樹が武を連れてきているのだ。


「武!!」


あたしが叫ぶと、智樹はつまらなさそうに目を細めた。


「武、大丈夫? なにもされてない?」


「ちょっと、あんた自分の立場わかってんの?」


立て続けの質問に、千恵美があたしを見下ろして言った。


武の姿を見た瞬間、自分のことなんてどうでもよくなった。


武が元気なら、それでいい。


「ノドカ……!」


あたしの存在に気が付いた瞬間、武が駆け寄って来た。


千恵美を突き飛ばし、あたしの前で膝をつく。


その様子に千恵美と智樹は驚いている。
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