卑劣恋愛
打ち付ける
武の気持ちが痛いほどに伝わって来て、あたしの胸は満たされていく。


ずっとあたしが欲しかったものが、今目の前にある。


2人で近くの交番までやって来たが、中には誰の姿もなかった。


きっと巡回に行っているのだろう。


あたしと武はデスクの上に出ているメモ帳とペンを拝借して、地下室に監禁されたことを書いた。


もちろん、犯人である智樹と千恵美の名前もしっかりと書き残す。


これで2人はいずれ捕まるだろう。


その間あたしと武は2人きりになるのだ。


二度と誰にも邪魔されないように、しっかりと赤い糸を結んで……。

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