卑劣恋愛
最後の板を打ちつけ終えた時、あたしの胸には言い知れぬ達成感が生まれていた。


これですべて完了した。


千恵美と智樹の2人は勝手に捕まるだろうし、あたしたちは外の声を無視してればいいだけだ。


「やっと……2人きりになれたねぇ?」


あたしはそう言い、武の手を握りしめた。


「あぁ……やっと……」


武が痛いほどにあたしの手を握り返して来る。


そんなにあたしと2人きりになりたかった?


武も、ずっとそれを望んでいた。


そう聞こうと口を開いた瞬間だった。


あたしの体は横倒しに倒れ、痛みが頬を襲っていた。


え……?


今の状況が理解できず、武を見上げる。


武は口元に笑みを浮かべてあたしを見下ろしていた。
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