卑劣恋愛
ヒリヒリと痛み右頬に手を当ててみると、熱を帯びているのがわかった。


もしかしてあたし、武に叩かれた……?


一瞬の出来事だったし、頭は真っ白になってしまった。


「お前のためじゃない」


冷たい声が降り注いだ


「え……?」


「千恵美を守るために、お前とここに監禁されるんだ」


千恵美の名前が出て来た瞬間、全身に鳥肌が立っていた。


なんで?


どうして今の武が千恵美の名前を口にするの?


武はあたしのものになったはずなのに……!


「全部、演技だったんだよ」


あたしの気持ちをくみ取ったように武は答える。
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