卑劣恋愛
☆☆☆

今日は朝から走りっぱなしだ。


学校へ到着したあたしは校門前で一旦立ち止まり、肩で大きく呼吸をした。


2つのお弁当箱は大切に抱えているから大丈夫だと思うけれど、もしかしたら中で崩れてしまっているかもしれない。


後で、武の分だけは確認しておかないと。


そう思いながら昇降口を抜けて3年A組の教室へ向かう。


教室のドアが近づいてきた時、中から男子生徒の声が聞こえてきてあたしは歩みを止めた。


男子生徒2人の声量は大きくて、どうやら喧嘩をしているみたいだ。


巻き込まれたくなくて、あたしは少しだけドアを開けて中の様子を伺った。


他の生徒たちはまだ登校してきていないようで、教室内にいたのは言い争いをしている2人の男子だけだった。


「なんで武が……」


あたしは思わず呟いた。

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