卑劣恋愛
☆☆☆

「ノドカ、ちょっといい?」


あたしに声をかけてきたのは真由子だった。


真由子は少し緊張気味のようで、声が上ずっている。


「なに? なにかあった?」


真由子がこんなに緊張していることなんて珍しいので、あたしは慌てて席を立った。


きっとなにかがあったに違いない。


まさか、武に関することだろうか?


そう考えてチラリと武の席へ視線を向けた。


武は机に座り、友人と2人でサッカーの雑誌を広げて読んでいる。


いつも読んでいる雑誌に、いつもの友人。


なにも変わらない光景がそこにある。
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