卑劣恋愛
☆☆☆

お腹がいっぱいになってウトウトしていると、真由子が声をかけて来た。


「智樹のこと、いいの?」


そう聞かれてあたしは首を傾げる。


「いいってなにが?」


「智樹は、ちゃんとノドカのことを見てるんじゃないかなって、思うんだけど」


その言葉にあたしは鼻で笑ってしまった。


真由子はなにも知らないから、そんな風に言うんだろう。


「智樹が好きなのは千恵美だよ?」


あたしの言葉に真由子は「え?」と、小さく言って目を丸くした。


「実はあたし、今朝見ちゃったの」


あたしは声を小さくし、真由子に体を寄せて言う。


「見たって、なにを?」


「智樹が武に喧嘩をふっかけてる所。あたしが気が付いて止めに入らなかったら、武のことを殴ってたかもしれないんだから」


あたしは少し大げさに言って身震いをして見せた。
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