卑劣恋愛
☆☆☆
真由子に偉そうな助言をしたあたしだけれど、あたしにも好きな人がいた。
相手は恩愛高校に入学して2年生の頃同じクラスになった久下武(ヒサカ タケシ)だ。
武はサッカー部に所属していて、スポーツも勉強もできる校内の人気者だ。
もちろん、その分ライバルも多い。
放課後、あたしはサッカー部の練習を見るためにグラウンドへと向かった。
3年生は今年で引退ということもあり、今日も沢山の女子生徒たちが観戦に来ている。
「ちょっと、どけてくれる?」
グラウンドが良く見えるフェンスに群がっている女子生徒へ向けて、あたしは言った。
怪訝そうな表情で振り向いた数人の女子生徒たちが、仁王立ちをしているあたしを見
てサッと青ざめた。
同時に人垣が左右に別れてあたしのスペースが生まれる。
あたしはお礼も言わずにグラウンドが一番よく見える場所を確保した。
ここにいる子たちは1年や2年がほとんどだから、3年生の赤色のネクタイを見て場所を開けるのだ。
使えるものはなんでも使わないと損だ。
真由子に偉そうな助言をしたあたしだけれど、あたしにも好きな人がいた。
相手は恩愛高校に入学して2年生の頃同じクラスになった久下武(ヒサカ タケシ)だ。
武はサッカー部に所属していて、スポーツも勉強もできる校内の人気者だ。
もちろん、その分ライバルも多い。
放課後、あたしはサッカー部の練習を見るためにグラウンドへと向かった。
3年生は今年で引退ということもあり、今日も沢山の女子生徒たちが観戦に来ている。
「ちょっと、どけてくれる?」
グラウンドが良く見えるフェンスに群がっている女子生徒へ向けて、あたしは言った。
怪訝そうな表情で振り向いた数人の女子生徒たちが、仁王立ちをしているあたしを見
てサッと青ざめた。
同時に人垣が左右に別れてあたしのスペースが生まれる。
あたしはお礼も言わずにグラウンドが一番よく見える場所を確保した。
ここにいる子たちは1年や2年がほとんどだから、3年生の赤色のネクタイを見て場所を開けるのだ。
使えるものはなんでも使わないと損だ。