卑劣恋愛

助ける

今日1日、千恵美はずっと上機嫌だった。


あたしはそんな千恵美を見てイライラを募らせる。


視界に入れないように注意していても、武を見ているとどうしても千恵美が入って来るのだ。


『千恵美が武につきまとってたんじゃなくて、武が千恵美に付きまとってたんだ。もう、気が付いてたんだろ？』


蘇って来るとも気の言葉を、左右に頭を振ってかき消した。


そんなワケない。


武は、あたしの彼氏なんだから！！


頭をかきむしりたくなったとき、昼休憩を知らせるチャイムが鳴り始めてあたしは顔をあげた。


さきほどまで授業をしていた数学の先生が教室を出て行く姿が見える。


それと同時にクラスメートたちは思い思いに動き始めた。


食堂へ行く子。


他のクラスの友達とご飯を食べに行く子。


クラス内でグループを作る子。


あたしは武のお弁当箱を握りしめてすぐに席を立った。