あの日、君と誓った約束は






「えー、国語科準備室の掃除は……川北と瀬戸」

朝のホームルームで、掃除の担当場所が発表されていく中、先生の言葉に一瞬耳を疑った。言い間違いではないかと教卓を凝視したけれど、先生は淡々と次の生徒の名前を呼んでいく。

「中庭は……」

この高校の掃除時間は昼食後、全員どこかを受け持ち、学期ごとに変更されるらしい。よりによって川北将真と同じだと知って愕然とする。
短い掃除時間とは言え、彼とふたりきりになるなんて絶対嫌だ。入学式の日もそう だったけれど、一緒にいたらずけずけと話しかけてきそうで、本当に憂鬱でしかたない。



そんなことを考えているうちに、あっという間に掃除時間になる。私は、生徒手帳にはさんでいた校舎の簡易地図を見ながら、重い足取りで廊下を歩いていた。

「瀬戸」

教室で話しかけられないようにさっさと国語科準備室に向かっていたのに、一階に下りた途端、うしろから呼び止められる。振り向くより前に、川北将真に隣から地図を覗き込まれた。

「俺も場所わかんないから、見せて」

無遠慮に顔を寄せてくるから、彼の前髪が私のこめかみにかすかに触れる。近づくのが嫌で、即座に身体をずらして地図だけ手渡した。
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