これが恋だと言うのならば
「…ありがとう」


「場所移そうか?」


「うん、そうしたい」


麻衣と2人で廊下に出て、屋上前の階段に座る。


きっとここなら誰も来ない。


「で?何があったの?朝陽は。」


「えーとね、私、分からなくて。」


「うん。」


麻衣は、自分でも訳の分からない感情を、きちんと聞いてくれるようだった。


「私、ちょっと前、柊君と初めてちゃんと話した。…図書室で、何してるの?って言われて。」


「うん。」


興味なんて、なかったのに。


「なんか、違うって、思って。…なんて言うか、柊君、違和感を感じるって言うか…」


「あー、分かる。柊の笑顔、なんか嘘くさいよねー。なんて言うか、仮面みたい」


…!麻衣も、同じこと思ってた!


私だけじゃ、なかったんだ!


「…それで、ね、知りたいって、思っちゃった。」


「あー、朝陽あんた、ミステリアスなタイプに引かれる子だ?」


「い、今まではそんなんじゃなかったもん!」


私だって、これまで恋をいくつかしてきた。


サッカー部の先輩。


優しくて、勉強ができる同級生。


クラスのリーダータイプの男の子。


私の好きになる人の共通点は、明るくて、一緒にいて安心する人だった。
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