これが恋だと言うのならば
同じ人間でもこうも違うんだな。なんて、考えたりして。


ま、でも、クラスメイトだし?断ることでもないか。


「別にいいよ」


「やったぁ〜あ、じゃあ私のこと彩乃って呼んでね?」


「わかった」


彼女は彩乃と言うらしい。


名字を知らないため、名前だけ教えられたらそう呼ぶしかない。


「やったぁ〜」


きゃはは、っと、高い声で笑う彼女。


…やっぱり違う


今まで、少し前まで俺が一緒に時を過ごした彼女は、違う。


きゃはは、と、高い声で笑う彼女に比べて、あの子はふふふ、と、優しそうに笑う。


クルクルと綺麗に巻かれた彼女の髪に比べて、あの子はふわふわそうで、自然体だ。


ツン、と、鼻を痛くさせるような甘ったるい強い香水匂いの彼女に比べて、あの子は、風の度にふわっとなびく優しい匂いだ。





…何、考えているんだ、俺は。


彼女と、あの子を比べるなんて…。


「ねぇ冬夜〜」



その時、


「痛っ…、」


俺の頭の中でぐるぐると考えていた彼女の悲痛な声が聞こえた。


「朝陽っ!!!」


すぐさま駆け寄る麻衣さん。


「ごめん麻衣〜、ちょっと、捻ったかも…。」
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