これが恋だと言うのならば
「え、嘘、朝陽、保健室!保健室連れて…あ。」


彼女達の一連のやり取りを見ていると、ニヤリと怪しい笑みを浮かべた麻衣さんと目が合った。


…嫌な予感がする


「柊〜!!!朝陽のこと保健室連れてってー!!」


…当たった、嫌な予感。


「えー、冬夜行っちゃうの〜!?彩乃も行くよ〜」


「あぁ、そうしてくれたら助かる」


…今、前園さんと2人とか、気まずすぎるし。


「ダメだよ彩乃〜、朝陽の代わりに彩乃が入るんだから!」


…麻衣さん、余計なことを…


あーもう、仕方ないなぁ…


ひょこひょこと俺の元にやってくる前園さん。


「大丈夫?」


「うん!全然平気!」


平気、と言いながら足を引きずる彼女。


…危なっかしいなぁ


「肩貸す?」


「えっ、大丈夫だよ!それに柊君の方が背高いから届かないよ」


えへへ、と笑う彼女。


…やっぱり、安心するんだよなぁ。


「じゃあ、手、掴んでていいよ」


ん、と手を出す


…何やってんだろう、俺


「あ、ありがとうっ」


差し出した俺の手をぎゅっと握る彼女。


…なんだろう


心が、締め付けられる。
< 25 / 66 >

この作品をシェア

pagetop