これが恋だと言うのならば
だけど、それと同時に、心に暖かいものが湧き上がってくる。


…なんだ?


なんだこれは…。


「ん、くん?柊くーん?」


「っ?!あ、ごめん。」


今日はほんとに、ぼーっとすることが多いなぁ…。


「なんか、柊君と話すの、久しぶり…だね。」


「あー、うん、そうだね…」


「さ、寂しかった…!」


少し赤い顔で、潤んだ目で見つめてくる彼女。


なんだろう…苦しい…


「…」


なんて、返せばいいんだろう。


今の俺には、彼女の寂しかった、という言葉に対して返す言葉なんて、持ち合わせていなかった。


なにも返さない俺に対して少し不安そうな顔をして微笑む彼女。


…ごめん、何も、言えなくて。


わからないんだ。…俺には。


「柊君、着いたよ、保健室。ありがとう、連れてきてくれて」


「うん、大丈夫そう?」


「あ、全然!大丈夫だよ!!」


そんな会話をしながら、手を握っていたことに気がついて、恥ずかしくなってどちらともなく手を離した。


「ごめん」

「こ、こっちこそ!ごめんね、柊君!!!」


「前園さん、座んなよ、怪我してるんだし」


「あ、うん、ありがとう」
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