これが恋だと言うのならば
保健室には、誰もいないようだった。


先生、どこいったんだ?


保健室は何度か来たことがあり、湿布と氷の場所は分かっていたので、彼女に氷と湿布とを渡した。


「柊君ごめんね、ほんとに!」


「いや、全然。」


「…あ、あのさ…彩乃ちゃんと…仲いいの?」


なんだか聞にくいことを聞いたみたいに俯く彼女。


「え?別に仲良くないけど」


「え、あ、そーなの?!」


「ん。」


「柊君、なんか、違うね。」


「…違う?」


「んーと、上手く言えないんだけど!前までなんか、嘘っぽかった、っていうか…。あの、キラキラした笑顔あんまり好きじゃなかったから、今の方が、自然でいいと思う!」


「ははっ、そっか。」


確かに、彼女の前で自分を作るのを忘れていた気がする。


嘘っぽかった、か。


「ご、ごめんね!?変な事言ってたら!?」


「ううん。前園さん、面白いからいいよ。」


「えっ、それ、褒めて…?」


「褒めてるよ。前園さん面白いから一緒にいて飽きないし。」


…これは、本心。


楽しい、と、思う。


彼女を見ていると。


「えっ、あ、あり、がとう…?」
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