これが恋だと言うのならば
「…ほんとに?」


上目遣いで聞いてくる朝日。


「ほんと!」


わしゃわしゃ、と朝日の髪を撫でる。


あんまり可愛い事しないで?ほんと、持たないから…


だいたい朝日はわかってない。自分の可愛さを自覚してなすぎる。


「とーやくーん?」


「もっとちゃんと分かって?」


あ、声に出ちゃった


「え?」


ぽかんと訳の分からなそうに口を開ける朝日はやっぱり癒しで。


「なんでもない」


「えー?」


なんで俺はあんなことしたんだろうって今更ながら苦しい。


…あんな、出会い方、最低だ。


「冬夜君!今日はどこ行くの?」


でもまぁ…朝日との時間も残りあんまりないから…。楽しまなきゃ。せっかくだし。


「教えて欲しい?」


「うん!」


「今日はね、かき氷すごい美味しいとこがあって。そこに行こうと思います。」


「かき氷!!!」


「嫌いじゃない?大丈夫?」


「好き好き!」


「っ、」


…かき氷が!かき氷がすきなんだって。


可愛いな、ほんとに…。


おかしい、俺。


前なら別に、誰かに好きだと言って欲しいことなんて、なかったのに。


誰かに喜んで欲しいことなんて、なかったのに。
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