とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「へえ。でも美里の結婚式で皆、会ったんでしょ」

美里の結婚式は、自分の政略結婚のせいで完全に頭の隅にいってしまい気づいたら終わっていたっけ。
親友の結婚式に参加できなかったのは申し訳ないけど、私のネイルを身に着けてくれていた写真だけは見せてもらった。それだけで私は幸せだ。

「ほぼ来てたかな。中学から付き合ってるって珍しいし普通にすごいことだから」

「それなのに同窓会って、中学の皆は余程、仲がいいんだね」

私は中学、高校と女子高だったから顔ぶれは変わらない。

しかも高校三年の時に同窓係を卒業式前に決めた。地元で引っ越す予定がない人が、学校が主催する同窓会のお知らせを私たちに連絡してくるってやつ。

私は一人暮らしをするって宣言していたし、私立のお嬢様学校なのに派手は専門学校に行ったから学校側からのうけも悪く、指名さえされなかった。

「華怜も来る?」

「私が? どこに需要があるの」

 あんなに親がモンスターして、一矢くんも学校もいじめの首謀者たちも嫌な気持ちになったであろうに。

「需要は俺にある」

「一矢くんだけでしょ。絶対に行かないよ」
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