とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「えっ」

「じいちゃんがついつい最新の医療機器を購入してしまうがの、そんなんいつも数年で元がとれてる。一矢くんのおじいさんとツーカーだからね。あっちが新しいことすれば、じいちゃんもつい新しいものの手を伸ばしてしまう。嫁や息子の嫁からしたら、ハラハラだろうが結果は出してきてる」

祖父は自分の仕事に自信と誇りがあるからこそ、今の状況を知らされていない。

 感づいていても、信じられないのかな。

 ちょっと驚いたけど、ここはもう濁すしかない。

「それより、じいちゃん、華怜の純白のウエディングドレス見たいなあ。見たいなあ」

「えー……」

「まあ、華怜は芯がしっかりしていて頑固だから、お前の母親と一緒。絶対にじいちゃんの意見に譲ってくれないんだよねえ」

しゅんっと項垂れたふりをして、下を向く。

が、しっかりと携帯を見ているのには気づいている。

全く。油断ならない。

「ってなわけで、もうすぐ一矢くんがここにくるよ」

「はいは――は?」

「今すぐ来いって、怒ってるふりしたから飛んできてるよー」

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