とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「新婚旅行は、豪華客船クルーズもいいですね。そんなに休めるならば、だけど」

「まずは旅行よりマンションですね。将来的に子どもができるならもっとアットホームな家に引っ越したいです。あそこは子どもがいる家庭が購入するようなマンションでもないですし」

「結婚式はぜひ! 華怜は綺麗ですからドレスは何でも似合いますよね」

もうやめて。やめてくれ。私は恥ずか死ぬ。

おじいちゃんのチクチクした攻撃に爽やかに、悪気もなく真っすぐに返事をする。

それがさらにおじいちゃんに火をつけて意地悪は質問ばかりな気がする。

「中学時代の件は、じゃあ全くもう二人は水に流してるんだね」

「はい。当時はご迷惑おかけしました」

「大変だったよお。玲華ってば弁護士付けて徹底的にこの件に関わった人間を処罰するとか言い出してさあ。実際、弁護士が三人、動いていたしね。確かに華怜の髪は綺麗だったけど、ねえ」

「本当にあの時はすみませんでした」
< 124 / 205 >

この作品をシェア

pagetop