とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「もういいじゃない。責めるのは私だけ。一矢くんを責めていいのは私だけってば」
当時、どれだけ彼が言われていたのか分からない。
でも言い訳もせず、祖父の言葉にだた謝る彼を見ていると胸が痛む。
おじいちゃんの病院の経営が苦しくて手を差し伸べてくれていて、その原因の人の嫌味を言われたんじゃあ、彼の立場がない。
「おやおや、尻にしかれるねえ、一矢くん」
「そうですね。もっと敷かれてもいいです、彼女になら」
「いやあ。熱い熱い。アイス頼んじゃおうかな」
「リゾット食べてからにして」
それからお爺ちゃんと一矢くんは、先週あったお笑い芸人の番組について盛り上がりだした。
二人が見ているなんて想像できないような、深夜のお笑い番組なのに。
「……」
頼んだ珈琲のストローで、グラスの底を啜った。
氷が少しずつ解けてストローに吸い込まれていく。
それを観察しながら、色々と二人の関係が怪しいことに気づいた。
「もしかして、……おじいちゃんと一矢くんって結構前から交流があるの?」
お互いお笑い番組が好きだと知っているほど、好みを熟知しているのはおかしい。
なにかのきっかけでお笑いと言う共通点から仲良くなり、一矢くんは祖父の経営難を知った、とか?
当時、どれだけ彼が言われていたのか分からない。
でも言い訳もせず、祖父の言葉にだた謝る彼を見ていると胸が痛む。
おじいちゃんの病院の経営が苦しくて手を差し伸べてくれていて、その原因の人の嫌味を言われたんじゃあ、彼の立場がない。
「おやおや、尻にしかれるねえ、一矢くん」
「そうですね。もっと敷かれてもいいです、彼女になら」
「いやあ。熱い熱い。アイス頼んじゃおうかな」
「リゾット食べてからにして」
それからお爺ちゃんと一矢くんは、先週あったお笑い芸人の番組について盛り上がりだした。
二人が見ているなんて想像できないような、深夜のお笑い番組なのに。
「……」
頼んだ珈琲のストローで、グラスの底を啜った。
氷が少しずつ解けてストローに吸い込まれていく。
それを観察しながら、色々と二人の関係が怪しいことに気づいた。
「もしかして、……おじいちゃんと一矢くんって結構前から交流があるの?」
お互いお笑い番組が好きだと知っているほど、好みを熟知しているのはおかしい。
なにかのきっかけでお笑いと言う共通点から仲良くなり、一矢くんは祖父の経営難を知った、とか?