とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「一年で華怜に好きになってもらわなかったら、諦めなさい。一年しか私は協力しない」

「協力?」

「ここまで華怜のことを思ってくれてるなら、一年だけ協力してあげる。強制的に一緒に住める、もしかしたら結婚もしてくれる。でもあなたを恨むところからスタートよ、どう?」

最初、彼女が何を言っているのか分からなかったが、だんだんと話を聞いているうちに理解した。

華怜さんが男性恐怖症を克服するために俺を利用したいと。

原因の俺がなんとかできるなら、自分は悪者になっても構わないと。

一年だけ。それ以上は苦痛になってしまうかもしれないからと言われた。

「娘に嘘をつくの。それぐらい私も覚悟を決めるのよ。貴方が生半可な気持ちで言いだしてるなら、絶対に許さないから」

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