とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
 職場でも正式に、結婚したことを報告した。

 美香さんは大喝采の大喜びでお祝いしてくれて、白鳥さんも「結婚式のネイルはタダでするヨ」ってからかってきた。

「あとは美香だけだね。この子、ほんとイケメンしか見えない病気だからねえ」

「店長。私だってもう、辻さんみたいなチャラい男じゃなく安心できるイケメンを探してます」

 辻さんはそこまで悪い人じゃないだろうけど、美香さんは顔ではなく結婚相手としての条件のいいひとを探すようだ。

「ちょうどよかった。私、九月から専門学校の臨時講師の仕事が入ってさ。この店に二人ほど求人かけてたんだよ。そこで、――華怜」

白鳥さんが申し訳なさそうに、呼ぶので行ってみると来月のシフト表を見せられた。

「二人入るんだけど、その二人が既婚者で尚且つ平日の休みが欲しいらしくてさ」

「珍しいですね」

「旦那が運送会社と夜勤のある工場らしいんだよ。で、あんたの旦那は?」

「えーっとどっちかといえば日曜とか」
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