キミの嘘
・・・・・・・・

体育大会まで一週間。

定期テストも終わり
大会に向けて本格的に練習開始。

「さて。とりあえず、今日はチームわけで練習試合みたいな感じでやろうか」

橘くんがみんなに声をかける。
誰がリーダーとか決めたわけではなく
いつのまにかみんなをまとめてくれている。

橘くんはそんなことがさらりとできる人。
クラスのまとめ役的存在。

「チームどうする?」
橘くんと仲良しの田中くんが名簿一覧を見ながら考え込んでいた。

「パワーバランス考えてサッカー部の僕と田中は分かれて、あとは名簿から振り分けようか」

サッカーに出場する名簿を上から2チーム振り分ける、。

私は、仲良しのみきちゃんと・・・橘くんのチームになった。

「チーム決まったし、やろうか!」
田中君が、手を一度ぱちんと叩いてグランドの左右に分かれる。

「高来さん、よろしくね。」
「うん。私本当できないから迷惑かけちゃうかも」

かなり不安・・・。

運動音痴の私が足手まといになりそう。

「高来さんと同じチームでうれしいな。僕がカバーするから安心して」
「ありがとう・・」


試合をする前に各自でウォーミングアップ
私はみきちゃんとパス練習を始めた。
みきちゃんは運動もそれなりにできるから上手にパスを回してくれるけど
私は空振りばかり。

あぁ・・もう先行き不安でしかない。

「ごめん~」
みきちゃんのパスをうまく返せなくて空振りしたボールが校庭の端に転がる。

拾って戻ろうとしたとき
「下手すぎ」
「縁!」

ジャージ姿の縁が第二グランドへ移動中だった・。
たしか‥縁もサッカーとか聞いたような

「練習?」
「そう。しかし杏がサッカーとはねぇ」
ふふん、と鼻で笑われた。
「・・どうせ、できないくせにってばかにしてるんでしょ」
ふいっと顔を横に向ける
くすくすと笑い声が聞こえて縁を見ると
優しい笑顔だった

どきどき・・・

こういう縁の笑顔に弱い・・。

「高来さん!」
後ろから声がして橘くんがかけてくるのがみえた。

「・・・・」
さわやかな笑顔で近づくと縁に気が付いて、一瞥してまた視線を私に戻した。

「・・じゃな、杏。せいぜい転ばないようにきをつけろよ」
思わず縁の顔を見る。
ぽんぽんと頭をたたいて縁は歩いて行った。

「・・お兄さんだよね」
「うん、サッカーに出るみたい」
そうなんだ・・・とつぶやいてすこし考え込んだ。

「たち・・ばなくん?」
「ごめん、もうすぐ練習試合するからもどろうか」

いつもの橘くんに戻ってグランドに向けて歩き出した。



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