キミの嘘
午前の部は終わり、いったんお昼休憩になった。

教室、中庭、校庭、それぞれ生徒たちがレジャーシート広げながらランチタイム。

「あともう少しで終わりだねー」
クラスメイトの女子と数人で囲むお昼。

青空の中、そとで食べるご飯は格別。

今日はお母さんが特製ランチを作ってくれた。
縁もたぶん、同じお弁当。

「杏のお弁当美味しそうー!」
みきちゃんが覗き込んだ。
みきちゃんのお弁当だって、花型に切り取った卵焼きとか、ハンバーグとか可愛い、女の子のお弁当って感じ。

「ありがとー!みきちゃんこそかわいいー」

みんなでお弁当見せ合ったり、午前中の種目で誰が素敵だったかとか、かっこいい人がいたとかとりとめない話をしていると聞き覚えのある声がした。

「高来さん、ちょっといい?」

橘くんだった。





「高来さん、ごめんね、ご飯の時に。」
「ううん、大丈夫。」

校庭の裏。

橘くんがすこし、緊張しているように感じる。
言いにくそうに話を切り出す、橘くん。

「あのさ、よかったら、でいいんだけど。今度の日曜、一緒に映画とか観に行かない?」
「、、、えっ?」

恥ずかしそうにすこし、視線をずらして、橘くんは続けた。

「あっ、いや、だめ、ならいいんだけど。もしよかったらとおもって。この前もサッカーの練習のとき、ちゃんとフォローできなかったし。」

「あっ、あれは橘くんは悪くないよ!」
「...高来さんのこと、ちゃんとフォローできなかったし。、、それに、映画のチケット、兄さんからもらったんだ。、、どう?かな。予定悪い?」

日曜。
本当は縁ともうすぐ結婚記念日のお父さんお母さんのプレゼントを買うために出かけようとしたけど、用事があるからって、縁には断られたんだ。

何も予定はない。

「うん、いいよ。」





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