キミの嘘
体育大会は、その後も無事終わって、わたしのクラスは学年で2位という結果になった。
体育大会が終わって
すぐに夏休みがやってきた。
日曜のお昼過ぎ。
橘くんと映画館の前で待ち合わせ時間は午後一時。
お昼ご飯をいっしょにと言われて、映画の時間少し前に待ち合わせしていた。
朝、
縁はわたしより少し早めに家を出ていた。
私がリビングに行く頃には縁はもう、出かけていて、朝も早くからいなかったみたい。
「、、、、」
男の人と出かけるのなんて、縁以外ないから緊張する。
名前を背後から呼ばれて振り返ると橘くんが駆け寄ってきた。
今流行りのブランドのロゴマークが胸元にデザインされたシンプルな黒のTシャツと、インディゴブルーのデニムというシンプルな服装
橘くんらしい。
「まった?ごめんね。」
「ううん、大丈夫。わたし、迷いやすいから早めに来たんだ。」
「、、、そうなんだ。でも今日は僕もいるし、迷子にはならないよ」
さわやかな笑顔に一瞬、ドキドキする。
橘くんが行ってみたいというカフェに歩いているときも、すれ違う女の子がちらちらと橘くんをみていたり、カッコいいと呟いていたり、となりにわたしがいるのが申し訳なくなる。
あまり、となりを歩くことがないから、
改めて見ると、横顔も鼻筋高くて目も切れ長だし、髪の毛もストレートの黒髪で、人気があるのもわかる。
身長も高いしスタイルもいいし顔も小さい。
モデルさんみたい。
縁の方が、もう少し身長は高いかな。
他にも
光に当たるとすこし茶色になる髪の毛とか、笑うとエクボができるところとかふと思い出す。
「高来さん、あんまり見られると恥ずかしいんだけど」
「あっ、ごめん、、なさい。」
ひゃー。
つい、見てしまった。
橘くんが、選んだカフェは映画館にも近くて、
最近できたばかりなのか、
お昼過ぎだというのに、ほぼ満席だった。
道路側一面ガラス張りで、
木目調の家具をメインとしたナチュラルなカフェ。
小物もシンプルで、ランチメニューも体に良さそうなものばかりだった。
おしゃれな街には、こういうおしゃれなカフェが沢山あった。
その中でもこのお店は最近オープンしたというのもあって、ほぼ、満席だった。
「こういうところ、きっと高来さん好きかなと思って」
「うん、ほんと、すごい、素敵なカフェだね。ありがとう」
橘くんは、ハンバーグセット、私はグラタンセットを頼んで、学校の話とか、橘くんの家族の話や通っていた中学校のこととかとりとめもなく話ししていた。
橘くんが高校からの編入生というのも初めて知った。
「高来さんは、中学からうちの学校だったよね?」
「そうだよ。、、私のお母さんが卒業生なの。お母さんも、楽しかったって言ってて。ここに入りたいなぁ!って思っていたんだ」
「、、そうなんだね。、、、高来先輩も、、、お兄さんも中学校から一緒?」
「うん。そうだね。」
「中学からここにしたらよかったなぁ。」
ポツリ、橘くんが残念そうに呟いた。
「えっ?」
橘くんは笑顔になりながら
「そしたら、もっと早く高来さんと出会えたのに」
一瞬、真顔で、でもすぐその後また、笑顔に戻った。
「そ、そうだね。」
うまく、答えられなくて下を向いていたら
タイミングよく料理が運ばれてきて、話題も映画の話とか趣味の話とか変わった。
映画の始まる時間近くになって
二人で席を立ちあがる。
出口に向かうと見慣れたすがたを、見かけて足を止めた。
最初は見間違いかと思った。
何度も見たけど変わらなかった。
入り口の、奥まった座席。
カフェの窓際には用事といって朝早くから出かけていた縁が、、、
知っている女性と向かい合わせで座っていた。
長いストレートの髪。
透き通るような肌
小さい顔にさくらんぼのような唇。
アーモンドのような形のいい目。
河崎先輩だった、、、。
足を止めた私が、動き出す気配がなかったせいか、橘くんが視線の先を追っていた。
そして、
あっ、、と小さく声を上げた。
「高来さん、外に出てて」
動けなかった私の背中をそっと押して、
お店の外に連れ出した。
橘くんがお会計をしてくれて
映画館にいって
ただ、ただ、さっき見たシーンを頭から消していた。
映画はラブサスペンスもの。
好きになった人に秘密があって
二人で共有するうちに事件に巻き込まれていくというもの。
映画の内容なんて頭に入らなかったけれど
今日はせっかく橘くんと出かけているのだからと
気にしないように
まるで何なかったことこように振る舞った。
映画を観て
そのあとはショッピングを楽しんで
すっかり、暗くなる頃には自宅近くまで送ってくれていた。
帰り際
最寄駅から自宅まで歩く時
ふと、
橘くんが、
お兄さんいたね、やっぱりあの二人付き合っているんだね
と話しかけてきたけれど、何も反応できなかった。
用事があると言っていた。
朝早くから出かけていた。
そもそも、兄と妹。
兄に彼女がいてもおかしくはない。
それに傷つく資格はない。
「、、、さん?、、高来さん!」
「あっ、ごめん。なに?」
はぁ、ためいきを橘くんはついた。
なにやってんだろ。
橘くんがせっかく誘ってくれたのに。
つまんない思いさせてしまった。
しゅんとしていると橘くんがいきなり私の腕を引っ張って抱き寄せた。
「/./.....-//」
なにが起きたのか、わからなかった。
ただ、ムスクの香りがして
ギュって抱きしめられた感触がした。
「た、たちばな、、くん?」
橘くんが私の髪に顔を埋める。
首元がくすぐったい。
「高来さん、僕のこと見て。」
「えっ」
「僕のこと、好きになって」
「....」
「高来さんのことが好きです。」
「橘、、くん」
「今すぐ、返事はいいから。、、すこし、考えて欲しい。」
「あっ、でも、わたし」
「今は答えなくていいから。」
そういうと、私を抱きしめていた腕の力を弱めて
すこし、距離を取った。
「いきなりでごめんね。今日はありがとう。また、学校で。」
橘くんは暗くてもわかるくらい耳まで赤くなっていた。
走って駅に向かう橘くんの背中を見送り
家の中に入った。
家の前であんなこと、、。
なぜか、縁に聞かれていなかったか気になった。
玄関開けても縁の姿はなくてホッとした。
見られてもきっと、なにも変わらないのに、なぜか縁には見られたくなかった。
部屋に入ると一気に疲れと現実が襲ってきて
座り込んでしまった。
立っていられないくらい
足元がおぼつかない。
縁の部屋は静かなまま。
まだ帰ってきていないのかな。
もしかしたら帰ってこないかな。
「あはは、、。」
から笑いが、静かな部屋に響く。
縁には会いたくなかったからよかった。
今すぐ平気な顔で見れない。
そう、
縁から話を聞くのが怖い。
縁を見つめる河崎先輩は、とても可愛い服装でそして、愛おしそうに縁を見つめていた。
縁はそんな河崎先輩を優しそうに見つめていて、お似合いの二人だった。
傷つく資格なんてない。
わかってる。
でも、溢れる涙を止めるすべを私は知らなかった。
これが現実。
わたしと縁の関係は、兄と妹。
それ以上でもそれ以下でもない。
体育大会が終わって
すぐに夏休みがやってきた。
日曜のお昼過ぎ。
橘くんと映画館の前で待ち合わせ時間は午後一時。
お昼ご飯をいっしょにと言われて、映画の時間少し前に待ち合わせしていた。
朝、
縁はわたしより少し早めに家を出ていた。
私がリビングに行く頃には縁はもう、出かけていて、朝も早くからいなかったみたい。
「、、、、」
男の人と出かけるのなんて、縁以外ないから緊張する。
名前を背後から呼ばれて振り返ると橘くんが駆け寄ってきた。
今流行りのブランドのロゴマークが胸元にデザインされたシンプルな黒のTシャツと、インディゴブルーのデニムというシンプルな服装
橘くんらしい。
「まった?ごめんね。」
「ううん、大丈夫。わたし、迷いやすいから早めに来たんだ。」
「、、、そうなんだ。でも今日は僕もいるし、迷子にはならないよ」
さわやかな笑顔に一瞬、ドキドキする。
橘くんが行ってみたいというカフェに歩いているときも、すれ違う女の子がちらちらと橘くんをみていたり、カッコいいと呟いていたり、となりにわたしがいるのが申し訳なくなる。
あまり、となりを歩くことがないから、
改めて見ると、横顔も鼻筋高くて目も切れ長だし、髪の毛もストレートの黒髪で、人気があるのもわかる。
身長も高いしスタイルもいいし顔も小さい。
モデルさんみたい。
縁の方が、もう少し身長は高いかな。
他にも
光に当たるとすこし茶色になる髪の毛とか、笑うとエクボができるところとかふと思い出す。
「高来さん、あんまり見られると恥ずかしいんだけど」
「あっ、ごめん、、なさい。」
ひゃー。
つい、見てしまった。
橘くんが、選んだカフェは映画館にも近くて、
最近できたばかりなのか、
お昼過ぎだというのに、ほぼ満席だった。
道路側一面ガラス張りで、
木目調の家具をメインとしたナチュラルなカフェ。
小物もシンプルで、ランチメニューも体に良さそうなものばかりだった。
おしゃれな街には、こういうおしゃれなカフェが沢山あった。
その中でもこのお店は最近オープンしたというのもあって、ほぼ、満席だった。
「こういうところ、きっと高来さん好きかなと思って」
「うん、ほんと、すごい、素敵なカフェだね。ありがとう」
橘くんは、ハンバーグセット、私はグラタンセットを頼んで、学校の話とか、橘くんの家族の話や通っていた中学校のこととかとりとめもなく話ししていた。
橘くんが高校からの編入生というのも初めて知った。
「高来さんは、中学からうちの学校だったよね?」
「そうだよ。、、私のお母さんが卒業生なの。お母さんも、楽しかったって言ってて。ここに入りたいなぁ!って思っていたんだ」
「、、そうなんだね。、、、高来先輩も、、、お兄さんも中学校から一緒?」
「うん。そうだね。」
「中学からここにしたらよかったなぁ。」
ポツリ、橘くんが残念そうに呟いた。
「えっ?」
橘くんは笑顔になりながら
「そしたら、もっと早く高来さんと出会えたのに」
一瞬、真顔で、でもすぐその後また、笑顔に戻った。
「そ、そうだね。」
うまく、答えられなくて下を向いていたら
タイミングよく料理が運ばれてきて、話題も映画の話とか趣味の話とか変わった。
映画の始まる時間近くになって
二人で席を立ちあがる。
出口に向かうと見慣れたすがたを、見かけて足を止めた。
最初は見間違いかと思った。
何度も見たけど変わらなかった。
入り口の、奥まった座席。
カフェの窓際には用事といって朝早くから出かけていた縁が、、、
知っている女性と向かい合わせで座っていた。
長いストレートの髪。
透き通るような肌
小さい顔にさくらんぼのような唇。
アーモンドのような形のいい目。
河崎先輩だった、、、。
足を止めた私が、動き出す気配がなかったせいか、橘くんが視線の先を追っていた。
そして、
あっ、、と小さく声を上げた。
「高来さん、外に出てて」
動けなかった私の背中をそっと押して、
お店の外に連れ出した。
橘くんがお会計をしてくれて
映画館にいって
ただ、ただ、さっき見たシーンを頭から消していた。
映画はラブサスペンスもの。
好きになった人に秘密があって
二人で共有するうちに事件に巻き込まれていくというもの。
映画の内容なんて頭に入らなかったけれど
今日はせっかく橘くんと出かけているのだからと
気にしないように
まるで何なかったことこように振る舞った。
映画を観て
そのあとはショッピングを楽しんで
すっかり、暗くなる頃には自宅近くまで送ってくれていた。
帰り際
最寄駅から自宅まで歩く時
ふと、
橘くんが、
お兄さんいたね、やっぱりあの二人付き合っているんだね
と話しかけてきたけれど、何も反応できなかった。
用事があると言っていた。
朝早くから出かけていた。
そもそも、兄と妹。
兄に彼女がいてもおかしくはない。
それに傷つく資格はない。
「、、、さん?、、高来さん!」
「あっ、ごめん。なに?」
はぁ、ためいきを橘くんはついた。
なにやってんだろ。
橘くんがせっかく誘ってくれたのに。
つまんない思いさせてしまった。
しゅんとしていると橘くんがいきなり私の腕を引っ張って抱き寄せた。
「/./.....-//」
なにが起きたのか、わからなかった。
ただ、ムスクの香りがして
ギュって抱きしめられた感触がした。
「た、たちばな、、くん?」
橘くんが私の髪に顔を埋める。
首元がくすぐったい。
「高来さん、僕のこと見て。」
「えっ」
「僕のこと、好きになって」
「....」
「高来さんのことが好きです。」
「橘、、くん」
「今すぐ、返事はいいから。、、すこし、考えて欲しい。」
「あっ、でも、わたし」
「今は答えなくていいから。」
そういうと、私を抱きしめていた腕の力を弱めて
すこし、距離を取った。
「いきなりでごめんね。今日はありがとう。また、学校で。」
橘くんは暗くてもわかるくらい耳まで赤くなっていた。
走って駅に向かう橘くんの背中を見送り
家の中に入った。
家の前であんなこと、、。
なぜか、縁に聞かれていなかったか気になった。
玄関開けても縁の姿はなくてホッとした。
見られてもきっと、なにも変わらないのに、なぜか縁には見られたくなかった。
部屋に入ると一気に疲れと現実が襲ってきて
座り込んでしまった。
立っていられないくらい
足元がおぼつかない。
縁の部屋は静かなまま。
まだ帰ってきていないのかな。
もしかしたら帰ってこないかな。
「あはは、、。」
から笑いが、静かな部屋に響く。
縁には会いたくなかったからよかった。
今すぐ平気な顔で見れない。
そう、
縁から話を聞くのが怖い。
縁を見つめる河崎先輩は、とても可愛い服装でそして、愛おしそうに縁を見つめていた。
縁はそんな河崎先輩を優しそうに見つめていて、お似合いの二人だった。
傷つく資格なんてない。
わかってる。
でも、溢れる涙を止めるすべを私は知らなかった。
これが現実。
わたしと縁の関係は、兄と妹。
それ以上でもそれ以下でもない。