キミの嘘
「えー!サッカーー!」
「なんで、またサッカーなんて、一番、杏と遠い競技に当たるかなぁ。」
前の席に座る親友のカコがご愁傷様と呟く。
もう直ぐ一学期が終わるころ、
私たちの学校では体育大会がある。
複数の団体競技をクラスで分けて出場するのだけど、みんな基本、参加したい競技が被るから、大抵くじ引き。
しかもお祭り的要素も強いから
男女混合。
運動音痴の私・・
あまり足を引っ張らないような競技希望だったのに・・
ひいたくじは
なんと・・
サッカー。
絶望的・・・。
どんよりしている私とカコの間にクラスメイトの橘くんが近づいてきた。
「高来さん サッカーなの?」
「うん」
「僕もなんだ。一緒だね」
笑顔でにこにこしながら話かけてきた。
「よろしくね」
「こちらこそ」
颯爽と友達の輪の中へ戻る橘くん。
「・・相変わらずさわやかね、橘くんは。」
「うん」
カコがつぶやく
橘くんはいい人だ。
1年のときも同じクラスで
体育大会のとき同じ役員していたから彼の人柄はわかる。
ひそかに人気があるのもわかる。
格好いいというよりは、中世的な美形で優しくエスコートしてくれそうな雰囲気に惹かれる人は多いと思う。
「橘くんって、杏のこと気に入っているよね」
「!!な、!なにいってんの~」
「だって、去年、体育大会で同じ役員していたとき、かなり杏のこと優しくしていたし=~」
「いや、橘くんはみんなに優しいよ」
ちらっと橘くんの席を見ると、彼と目があってしまった。
私はあわてて目をそらす。
変に思われたかな。