眠姫にキスを。


同い年の4月生まれの人とは1年くらい違う。

逆に瑞希くんの方が年が近い。

「先輩と俺は同い年なのにどうして学年違うんだろ。同じ学年にしてたら、先輩と同じクラスになれたかもしれないのにさ。」

瑞希くんは私と自分が学年が違うのが不思議でたまらないらしい。

言われて見ると不思議だ。


どうして4月生まれの人から3月生まれの人までが同い年とされているのか……。

瑞希くんに言われるまで考えようとも思わなかった。

当たり前のように認識していたから。


教室に行くと後ろから抱きつかれて胸を鷲掴みにされる。

こんなことするのは1人しかいない。

「おはよう司ぁー!今日もかぁわいいねぇ!」

「おはよう菜々緒。」


長身でメガネをかけたインテリ美女って感じの女の子。

名前は久保田菜々緒。


最初は怖そうに見えたけど話してみると凄く面白くて優しい子だった。

いつも抱きついてきたり胸揉んでくるけど。

誤解しないで欲しいが彼女はレズビアンではない。


瑞希くんの友達の田中くんと付き合っている。

どこにでも居る普通の男の子の田中くんと、美人の菜々緒が付き合ってると聞くと当然田中くんがアタックしたのだと思うだろう。


でも違う。


彼女が彼に猛烈アタックをした末ようやく付き合えたんだ。


私は何度かサッカーしている田中くんをみたことあるけれど、普段優しいくて少し抜けてるのに、試合になると別人というか、かっこよかった。

その田中くんに惚れる女の子は多いらしい。

菜々緒もその1人。

今はマネージャーとしてサッカー部を支えており、いろいろ忙しそうだ。

「もう。今日もラブラブだわね。学校1の美男美女カップルだから凄い目立つし。」

ニヤニヤしながら私をつついてくる。

そういう菜々緒も田中くんと超ラブラブじゃないか。

サッカー部のマネージャーになったのも田中くんの力になりたいと思ったからでしょ。


私が瑞希くんと付き合っているのは全校生徒が知っている。

学校屈指のイケメンだから噂にならない方がおかしい。

菜々緒達も結構有名だ。

菜々緒は凄い美人だし田中くんはサッカーが上手くて有名だしね。


「冷徹王子と付き合うって聞いた時は驚いたけど、今は納得したっていうか、凄いと思ったわ。桜木くんをあんなに風にするのは司だけだよ」


話によると瑞希くんは女の子達には基本冷たいらしい。

口調と目が冷たいけど、そこがかっこいいって女の子達が話していたのを聞いて、私は少し混乱した。


だって私が知ってる瑞希くんは凄く優しいもん。

冷たい目とか向けられることがなかったから。



「やっぱり気になるなぁ。」

「何が?」

「まだ司と桜木くんが付き合う前、図書室で司起こした時あったじゃん。アレ、ホントにただ起こしただけなの?」

また言ってる。

菜々緒は未だに瑞希くんが私に何かをして起こしたと思ってるらしく、たまにこうして話し出すことがある。

私ってそんなに寝起き悪いんだ。



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