眠姫にキスを。


「……ねぇ。もしかして土日桜木くんと過ごした?」


「……!?どうして分かるの?」



私は両親に友達の家に泊まりに行くと言って誤魔化し、瑞希くんの家に泊まりに行った。


どうして菜々緒が分かったのか不思議でたまらない。


「だって匂いがいつもと違うもん。」

「匂い?」

「気づかなかったの?あんた、桜木くんの家に泊まった時、匂いが違うのよ?」

菜々緒に言われて思い返してみると、私は瑞希くんと過ごすとき、いつも抱き合ってる。

互いに裸でベッドの中で何時間も寝ているのはしょっちゅう。

桜木くんの匂いが体に染み付いているんだ。

そう思うと嬉しく思う反面、恥ずかしくも思う。

「〜!んもぉ!可愛すぎっ。」

怒鳴り散らすように言うとぎゅうっと抱きしめられる。

く、苦しい。

私と菜々緒は身長差が約20cm違う。

菜々緒の胸元に私の顔が来るから抱きしめらると息が出来ない。

抱きしめらるのは嫌じゃないけど。

むしろ好きだ。




私の両親は基本家にいない。

互いに仕事人間で昔から鍵っ子だった。

っと言っても仲が悪い訳ではなくて、どちらかというと仲良しだ。

桜木くんを家に呼び、最初はお菓子を食べながら話していたけれど、私を求める桜木くんに流されるままキスをして、私を裸にしてゆく。

こんなこと、他の子にもしてきたの?

この優しい手で体を触ったり、頭を撫でたり抱きしめたりしたの?

……嫌だ。


最初は夢中だったから気にする余裕はなかった。

でも慣れた……と言うか、いや、慣れはしない。

裸を見られるのは今でも恥ずかしい。

なんというか、……そう、独占欲だ。


私が会う前の瑞希くんも今の瑞希くんも誰にも取られたくないんだ。

< 11 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop