眠姫にキスを。


彼は以前、図書室で寝ていた私を起こしてくれくれたことがある。

その時、菜々緒が一生懸命起こしてくれてたみたいだけど、私は全然起きなかったらしい。

たまたま通りかかった彼に頼んだらすぐ私が起きたからびっくりしていた。

彼は普通に起こしましたって言ってたけど。

彼に起こされると私は瞬時に起きるようになってんのかな。


彼は私を抱き寄せて頬をすり寄せてくる。

猫みたい。

シングルベッドで2人裸で抱き合う。

「今日、泊まっていいんだよね。」


「はい。明日もずっと一緒ですよ?」

ふふふっと笑い合ってまた眠りについた。


彼は一人暮らしだから私はよくご飯作りに行ったりお弁当を作っている。

いつも美味しいと無邪気に笑う彼が愛おしい。

学校から歩いて行ける距離だし帰りは駅まで送ってくれている。





彼と付き合い始めたのは今年に入ってしばらくたってからだ。



他の人が当番の時は知らないけど、少なくとも私が昼休みや、放課後の当番の時は、いつも彼は図書室に来ていた。




本が大好きな私はあらゆるジャンルを読みあさってきた。

周りはそんな私についていけず、小説の話が出来る子がいなかった。



だけど彼は私の上を行く。

互いに好きなジャンルが一緒だったり、私が知らない小説を紹介してくれたり、こんなに小説に詳しい人は今まであったことない。




彼に告白され、驚いたけど無意識にOKしていた。

それと同時に自覚した。

私は彼に惹かれていたんだと。

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