千紘さんのありがた~いお話
「ええって、なに?
 ってか、話しながら、流れるように買ってるね、レモン」
と龍平がレジで言う。

「だって、もう決めてたんだもん」

「っていうか、流れるように俺に持たせてるね」

「いやいや。
 龍平くんが自然に持っただけだよ。

 持ってなんて、言ってないよー」
と言いながらも、結局、持ってもらって、家へと向かう。

 あれっ?
 千紘さんと出会っちゃうかもしれないけど、いいかな?
と歩きながら、ちょっと不安になった。

 でも単に、自分が千紘さんの妻だと名乗る自信がなかっただけだしな。

 まあ、あの占い師の人に、この偽装結婚に間違いはない、と言われたことだし。

 いっかーと理由にならないことで、まあいいか、と思いながら、龍平とともに、家路を急いだ。





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